経営者意識

経営者意識/努力はその方向性が大切

このページに来られた方は「日々努力をしているのだけどなかなか思うように事業が好転していかない」など、何かしらの理由で事業経営に行き詰まりを感じておられるのではないでしょうか。残念ながら最近の消費者の商品に対するニーズのサイクルはとても短く、地道に一生懸命努力をしていれば事業が好転していく時代ではなくなっているようです。
そこで経営者の心構えとして次の要素をお持ちいただき、具体的にどのように行動していけばよいかを見ていきましょう

1.有言実行 2.前向きに考える 3.適切な方法で真剣に取り組む

経営者の方と話していて思うのは、現状を改善するためにある程度の知識や方法を持っていて頭ではわかっているのになかなか実践できない方が多いことです。その理由は何であれ自分の会社が良くない方向に向かっていると思うのであれば、すぐにでもその対策を講じる必要があるはずです。頭で思ったり口にしているだけでは現状は何も変わりません。
まず改善の方向性を見つけたらそれを実行し始めることです。そして実行している間に試行錯誤しながらも適切な方向に少しずつ修正していければOKです。またその方向性が間違っていると気づけばその時点で実行を止め新たな方法を模索しなければなりません。
その場合も「実行してみたから間違いがわかった」と前向きに捉え、「結局しないほうが良かった」などと後ろ向きに考えてはいけません。ただ経営者の方は「自分が会社を経営しているという自負」や「自分のやり方に固執する傾向」があるのでなかなかプライドを捨てることができません。ただしその結果として現在の状況になってしまったという事実を素直に受け止め、過去のやりかたを改め新しい方法でチャレンジしていく勇気が必要です。
社長さま自身に裸になってもらい腹のうちをすべて話していただき、社員や事業関係者にもオープンになっていただかないと変化の兆しは訪れません。まずは社長さま自身が変わることです。
「2」は読んで字のとおりですが、その場限りの能天気な前向きさではなく裏づけのある前向きさを意味しています。きびしい局面に立ったときこそ恐れずにその状況を打破するための方策を計画的に考え、できるだけ早い時期に実行に移していきます。
社長本人が消極的であったなら社員はついてきません。
「3」は「いつも真面目にやっているよ」という声が聞こえてきそうですが、これは自分が真面目に取り組むだけでなく他人の評価としてもそう見られていることが重要です。決して独りよがりの真面目さにならず周囲からも「社長は真面目に取り組んでいる」という評価を得られるようにします。これら3つのことを頭に置いて以下の文章の行動と実践をしていただきたいと思います。

T.現状を分析する

まず事業経営がどこでつまずいているのかを知る必要があります。例を示すと
A.事業を開始したけどなかなか軌道に乗らない
B.売上が減少傾向にあり手の打ちようがわからない
C.利益がなかなか増加しない
D.毎月の資金繰りがきびしい
E.いまの事業だけでは生活が成り立たない
複数の項目やそれ以外の状況の方もあると思いますが、まずどの点を経営上優先して改善すべきかを考えていきます。そしていままでどのように取り組んできたのか、なぜそのようになってしまったのかなど現在の状況に至るまでの経緯をしっかりと分析していきます

U.方向性を決める

Tで現状を分析して改善したい点がわかったら、それを実現するための有効な方法を会社の体力と相談しながら大まかに考えていきます。たとえば
F.現在の事業内容を改善して何とかしたい
G.現在の事業を継続しつつ新しい商品やサービスを付加していきたい
H.現在の事業をやめて新しい事業をやりたい
I.事業をやめたい
などです。自社の能力や財務内容を考えて物理的に実現可能性のある(着手しやすい)ところからその方向性を決めていきます。「I」の事業を断念するという選択も決して後ろ向きな選択ではありません。他のページにも書いていますが、事業を継続していくためには
J.利益=売上−仕入・経費 の金額がプラス
K.資金=事業活動−投資・返済 の残額がプラス
L.変化対応力=未来−現在 の事業活動の経済変化がプラス
の3要素をクリアーしていかなければ生き残ってはいけません。これらを達成できないまま事業を続けていくということは、「個人の持ち出し」や「外部からの借入」をし続けることになります(投資で資金を補う場合もまれにはありますが)。いまの不安定な状態が一時的なものであればよいのですが、そうでなければ自社や社長の家族、そしておつきあいいただいている会社も共倒れになってしまう可能性が出てくるのです。事業をやめることがベストの選択であるのなら早急にその道を準備を進めなければなりません

V.計画と実行

方向性が決まったらすぐに実行にうつしたいところですが、会社の現状をもう一度よく把握して事業計画を確実に遂行していくために改善のための計画を立てることが必要です(プランニング)。間違った方向や無駄に費やす時間やエネルギーはもう必要ありません。計画の作成にあたっては具体的な目標値を定めて、次のような流れ(サイクル)で行っていくことをお勧めいたします

[原因]→[計画]→[実行]→[検証]→[改善]
↑               ↓
← ← ← ← ← ← ←

実行した項目については目標値である期間や金額どおりに実行できたかどうかの検証を必ず行い、うまくいかなかった場合にはその原因を調べて計画の練り直しを行います。それを繰り返すことにより短期間で確実に改善項目を増やしていくことが可能となります

さいごに

ここ数年の間中小企業にとって経営のやりにくい時代が続いているように思います。「ふつうに事業を行っていたのでは生き残っていけない」というのが当事務所の実感です。経営者はプロフェッショナルとしての仕事を行うだけでなく、それ以外に「ユニークさ」や「付加価値」をプラスして市場に優位性を持つことが求められているように思います。しかし事業経営に行き詰ったときにこそ焦らずに落ち着いて現状を把握し、次の新しい展開を実践していく必要があります。社長は自分ひとりのことだけではなく社員や取引先とその家族、そして自分の家族を守っていかなければならないのですから、悩んでいる今こそ大胆な変革と行動力が求められることになるでしょう